テレジン通信:2012年5月

いつの間にか桜が咲き、散り、今はもう若葉の季節……お伝えしたいことはたくさんあるのに、なかなか実行できずニュースが遅くなってしまったことをお許しください。

一番の原因は、嬉しいほど忙しいことです。昨年末からしばらくは体調が優れず怠けていたのですが、今は反対の状況になっています。

 

ただ少々目の具合が悪く(これは、私の病気からくるもので、完治はできない、症状をとめるために数種類の点眼薬を使い続け、症状が出たらステロイドの強いものに替えるという方法しかないのですが)、長時間パソコンに向かうのが辛くなっているのが、困ることです。でも、どうぞご心配なく。テレジン展の最初からの協力者だった斉藤由紀子さんが「1万5000人の子どもたちの、生きられなかった寿命をもらっているのだから、病気なんかに負けるはずはありませんよ」と言ってくださった言葉を、今も信じています。何があっても、まだ大丈夫です。

学校図書㏍ の小学校6年の国語教科書に「フリードルとテレジンの小さな画家たち」が掲載されていることは、前にもお伝えしましたが、下巻の最後なので、3学期の終わりころの学習になります。教師用の指導書や「3学期授業ばっちりBOOK」などを見ると、本当に広範囲にわたって、知るだけでなく、生徒自身が考えるようにできていてびっくりします。私があらためて学ばなければならないような気になっています。

※原稿内容は下記「テレジン通信5月:お知らせ」覧にあるPDFでご覧いただけます。

品川区立杜松小学校での講演
品川区立杜松小学校での講演

3月13日は、品川区立杜松小学校の6年生の授業に招かれました。

住宅街の中にある小学校は生徒数が少なく、2014年には廃校になる予定とか。広い校庭に大きな銀杏の木があって、秋にはたくさんの実を落とします。もう、何年も前から、それを全校生徒が拾い、洗って、袋に入れて地域の方に買ってもらい、その利益を福祉施設などに寄付をするという活動を続けている学校です。「今年の6年はシャイで…」と、きっかけを作ってくださった副校長先生から聞いていましたが、それでも、「どうして、この本を書こうと思ったのですか」「フリードル先生に会いたいですか」などたくさんの質問が出て、嬉しい時間でした。あの生徒さんたちはもう中学生になっているのですね。校長先生はじめ、担任の先生、皆さん、ありがとうございました。可愛い感想文集、大事にします。

3月26~31日は、ニューヨークへ行ってきました。

ニューヨーク・シティ・オペラの指揮者をしていた山田敦さんが、被災地の学生合唱団を連れて行って、ニューヨーク、リンカーン・センターでマーラーの「復活」を演奏するという活動で、テレジンの著書を読んでくださっていた山田さんから、取材(?)を依頼されたものです。 

宮城福祉大合唱団、県立岩手大学合唱団、それに福島県南相馬のジュニア・アンサンブルの中・高校生。アメリカからはニュージャージー・カレッジの合唱団が参加、NYCOのオーケストラとソリストと共に「復活」を見事に歌い上げました。 

 

合唱団の中には、自身が、あるいは親戚や友人が被災したという人もいたようです。そうでなくても、すぐ身近で起こったあの大きな地震、津波の恐怖は強く記憶に残っているはずです。余震がつづき、停電や断水、そして、その後に原発の事故、放射能……それぞれの住む場所、立場などで違いはあっても、誰もが、精神的には大きなダメージを受けていたでしょう。

 

でも、彼らには歌があった。共に歌う仲間がいた。支えてくれる人々がいた……そして、学校や、先生方や、指導者の努力で、ニューヨーク行きが実現したのでした。私には、その姿が、テレジンと重なって見えました。好きなこと、本気で打ち込めるものがあること、そして、支えてくれる人々がいることの素晴らしさを、この旅で再確認してくれたら良いなと思いました。そして、できれば、70年前にも、絵を描くことで生きる力を得ていた子どもたちがいたことを知って欲しいなと――。

4月7日は、前にお伝えした、つくばでの講演会。「テレジンを語る会いばらき」では、昨年の講演会や展覧会のあと、素晴らしい報告書を作っていますが、講演会に先立ち、その報告もされました。

数十回にもおよぶ会議。埼玉会館でのチェコのイトロ合唱団コンサートや、銀座文化サロンでの「テレジンを語りつぐ会」の会合やコンサートにも足を運んでいただきました。埼玉平和資料館へもご一緒しましたが、そのときには「原爆の図 丸木美術館」へも立ち寄り、さらに、『コルチャック先生』の映画を見て、「子どもの権利条約」を学び、『モティール』という機関紙を作り……本当に長期にわたる、地道で真摯な取り組みには頭が下がりました。 

今回の講演会でも、いくつもの素晴らしい感想を頂きました。 

今度は、コンサートですね!

4月17日には、川越プリンス・ホテルでの、川越ロータリークラブの定例昼食会での卓話に招かれました。短い時間でしたが、テレジン収容所で、笑顔を失っていた子どもたちのために、命がけで活動した素晴らしい大人がいたことをお伝えし、今、子どもたちのために自分たちに何ができるかを考えて欲しいとお話しました。

6月3日は、さいたま文学館で、「埼玉文芸 春の集い」で『生きる力』~収容所に残された子どもたちの絵と詩が語るもの~と題して、主に、子どもたちの詩についてお話します。コンサート『テレジン もう蝶々はいない』の中の子どもの詩による歌をお聞かせしたいので、中村ヨシミツさん、西山琴恵さんに特別出演していただきます。

※詳細はチラシ(PDF)でご覧いただけます。

6月3日(日)埼玉文芸の集い 野村路子・講演「生きる力」
<テレジンを語る会>の代表・野村路子が、テレジン収容所に残された子どもたちの絵と詩が語る「生きる力」を語ります。当日は「テレジン収容所の幼い画家たち展」のパネルの一部も展示されます。
埼玉文芸の集い20120603.pdf
PDFファイル 381.1 KB

品川区杜松小学校 生徒さんの感想文

3月13日は、品川区立杜松小学校の6年生の授業に招かれました。「どうして、この本を書こうと思ったのですか」「フリードル先生に会いたいですか」などたくさんの質問が出て、嬉しい時間でした。

あの生徒さんたちはもう中学生になっているのですね。

いただいた生徒さんたちの感想文をご紹介させていただきます。

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出版記念・野村路子講演会

2012年4月7日、<テレジンを語る会いばらき>主催で、つくば市アルスホールにて『フリードル先生とテレジンの子どもたち』出版記念・野村路子講演会が開かれました。
2010年12月の野村路子講演会からはじまり、11年10月に『テレジン収容所の小さな画家たち展』を開催するなど、平和と命の問題、子どもを守るための大人の役割と責任などについて、考え、行動してきた<テレジンを語る会いばらき>の活動の1つの結果報告であり、同時に、新しい活動に向けての出発点にもなる講演会でした。  

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メディア情報

<テレジンを語りつぐ会>代表・野村路子の原稿やインタビューが本や専門誌などで掲載されています。各出典元の許可をいただき、ここにご紹介させていただきます。


出典:学校図書株式会社 教科研究国語 No.194 (小学校6年 国語教科書)「フリードルとテレジンの小さな画家たち」 
国語6年生 194号.pdf
PDFファイル 3.1 MB

出典:公益財団法人教育美術振興会 教育美術 2012年5月号 第73巻第5号(第839号)
教育美術2012May.No.839.pdf
PDFファイル 424.1 KB